ソラニン

多分高1の時。近所の古本屋で浅野いにおの「ソラニン」を買った。売れてないバンドマンの種田とその大学時代からの彼女である芽衣子さん同棲していて、日替わりでどちらかが朝ご飯を作り、なんやかんや仕事を辞めたりしながら、夜になるとセックスをしていた。僕は高1だったしセックスシーンがある漫画なんざ読んだことあらぁ、舐めんじゃないよと息巻いていたのだが、「ソラニン」には、なんと、「事後シーン」があった。お互いの家族の話とか週末動物園に行こうみたいな話を2人ともベットの上で全裸でしていて、僕はもう、それはそれは衝撃を受けた。

セックスの後にまさか生活が続いているなんて思いもしていなかった当時の僕は件の「事後シーン」にぶん殴られた気持ちになった。その後色々と浅野いにお作品を読んで回り「うみべの女の子」で男女がキスした後に唾がみょーーんと延びるコマでこれまたぶん殴られたりした。今でも漫画読んでて「事後シーン」があるとドキドキしてしまう。黒田硫黄「茄子」の新婚夫婦が夜中茄子を買いに行く話でもあったな。生活はエロいですよ。歯磨きとかかなりエロいでしょ。

UMA、ペガサス、セックス、くらいに思ってた当時の僕としては生活の延長に存在していると知れたのはかなり大きかった。僕がここに辿り着く為には、音楽をやろう、と。単純で可愛いでしょう？なんやかんやあってアニメ声のボーカル要するバンドを組むことに成功して、ベースを買ったものの全く弾けなくて文化祭本番をエアベースで切り抜けてバンドをクビになったりした。全くモテなかったがそれなりに楽しかった。違うバンドの友達が歌ってたandymoriのeverything is my guitar、かっこよかったねぇ。

大学に入っても芽衣子さんの裸が忘れられなかった僕は屋上を不当に占拠してギターを弾くサークル「ギタえもん」に所属してすぐ辞めたりした。なんやかんやあって3回生の時にサブカル女子の彼女が出来て小沢健二とかnever young beachとかフラワーカンパニーズを教えてもらった。僕はオシャレなやつだと思われたいからドレスコーズとかハナレグミが好きだと言っていた。高校生の僕は当時の高校生としては順当にBUMPとかRADが好きだったのに。大学に入ってギタえもんを辞めてからはほとんど音楽を聴いてなかった。

僕は「音楽」の向こうに「事後」をずっと見据えてたから音楽がめちゃくちゃ好きなわけじゃなくて芽衣子さんが好きなだけだった。嫌いじゃないけど、唸るほどじゃない。去年大喜利会に出た時、痙攣さんという方が「凡人肌の特徴」というお題で「アルバムの中の好きな曲を何度も聞く」と答えていてゲラゲラ笑ったが、朝起きて凹んだ。音楽好きはアルバムを通して音楽を楽しんでいる（イメージ）。僕はと言うと、である。サブカル女子と付き合えたけどサブカル女子と付き合う事が目標だった僕は感受性ゼロで、サブカル女子と話す事とか特に何にもなくて、別れた。僕と別れた後「ヨーロッパ企画」の男と付き合ったらしい。サブカル女子は、それでいい。

最近RADWIMPSのサブスク解禁されたからひっさびさに聴いたけどすげーいいじゃんね。1人だと自意識でまともに聴けないので今度誰か3～6枚目くらいまでのアルバム聴いてキャイキャイしましょうよ。